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円滑な調査実施に向けて―トラブル事例と調査時の配慮―

コラム

交通量や施設の利用状況に関する調査を得意とする(株)都市ネットは、その対象となる車両や利用者に配慮しながら調査を実施しています。

トラブルやクレームが発生することのないように丁寧な準備をしていますが、それでも想定外のトラブルは発生してしまうものです。

今回のコラムでは、当社の街頭調査におけるトラブル回避に向けた取り組みについてご紹介します。

Contents

  1.街頭調査で注意すべきこと
   ① 調査目的の明確化と準備
   ② 調査対象となる方々への配慮

  2.実際に起こったトラブル事例
   ① 「監視されているよう」「景観が損なわれる」
   ② さまざまなケースを想定した計画の必要性

  3.調査から導き出される課題
   ① 消費者側のトラブル回避意識の高まり
   ② 情報管理体制の徹底

  4.まとめ

1.街頭調査で注意すべきこと

交通量や人流などの調査を行う場所は、駅周辺や交差点などの道路、公共・商業施設、公共交通機関など多岐にわたります。

しかし、調査が対象となる車両や歩行者への負担になってしまうと、利用者の方々のご迷惑になるだけでなく、トラブルが発生して円滑な調査の遂行を妨げることになってしまいます。

街頭調査を行うときには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

円滑な調査の実施には、綿密な準備が欠かせません。

実査に必要な許可申請や調査員の確保、機材の準備などです。

特に道路や公共交通機関、商業施設など不特定多数の利用者が行き交う場所では、いかに効率的に、安全に調査を実行するかが大切です。

加えて、調査項目や調査対象の整理、調査員への情報共有も重要です。

交通量や人流の調査ではなく、利用者へのヒアリングを行う際には、対象となる利用者の方々に対して何を聞きたいのかをあらかじめ準備します。

調査対象者や利用者から調査目的の確認や、質問をいただくこともあります。

そのために調査員への情報共有は欠かせません。

調査を行うときには、車両や歩行者など利用者が負担に思われることは避けなければなりません。

移動の邪魔になったり、不信感を持たれたりするような行動や姿勢は、調査自体を円滑に進められなくなる要因になります。

例えば、利用者の邪魔にならないような場所を確認するために、使用許可申請に加えて事前に現況調査を行います。

現場に立つ調査員は、身なりや言葉遣いへの配慮はもちろん、利用者から質問をいただく際に適切な対応が可能なコミュニケーション力も欠かせません。

時にはクレームが発生することも考えられます。

そのため、想定される内容を事前に把握し対応を準備しておくこと、責任者を配置して迅速な対応を可能にすることも重要です。

2.実際に起こったトラブル事例

綿密な準備をしていても、調査現場では突発的なアクシデントやクレームなどが起こる可能性があります。ここでは実際に起きたトラブルと、その対処の事例をご紹介します。

ある民間の商業施設で、利用者数や流動に関する調査を行いました。

その施設には複数の飲食店や物販店が入居しているため、店舗の出入り数も調査対象でした。

複雑な通路や店舗配置を前提に、商業施設側とも調査員の配置を相談しました。

さらに、利用者の方々が負担に感じたり、不審に思われたりしないようにするため、調査員への情報伝達を徹底します。

この場所では過去にも同様の調査を行っているため、過去の事例をベースに調査員を配置しました。

そして調査を行ったところ、店舗利用者から「監視されているよう」というクレームが入りました。

さらに、テナントの店員から「景観が損なわれる」とのご指摘もいただきました。

ご連絡をいただいてすぐに調査責任者が現場に急行し、謝罪するとともに、調査員の配置を変更しました。

迅速な対応と説明ができたことで、利用者や店員の方には調査の趣旨等をご理解をいただき、調査を継続することができました。

この施設における過去の調査では問題が発生しなかったのに、この調査で発生した背景について検証したところ、該当する調査員が計画上の配置から少しずれた場所で調査を行っていたことがわかりました。

その日は真夏で天候は快晴、しかも屋外で丸一日をかけて行う調査でした。

時間によっては調査員を配置している場所に直射日光が当たります。

調査員は熱中症を避けるため、直射日光を避けながら調査を行っていました。

調査員の安全確保を図りつつ、調査対象者への配慮も忘れてはなりません。

私たちの調査は街頭で、酷暑や酷寒となるケースがありますので、近年の温暖化や酷暑における調査のあり方について再検討する必要性を感じました。

そうした配慮が今後はさらに必要になることも学んだケースです。

3.調査から導き出される課題

実際に街頭調査で発生したトラブル事例をご紹介しました。

丁寧な計画づくりや準備、また調査員への情報共有を進めることで、こうしたトラブルの多くは避けられると考えています。

しかし、それでも想定外のトラブルは発生します。

重要なのは、こうした事態に直面しても、丁寧な説明や迅速な対処を行える体制づくりです。

特に近年は、消費者への配慮や情報管理の重要性が指摘されています。

ここでは、調査業務におけるこれらの問題への対応姿勢について、検討してみます。

消費者庁が実施した「令和5年度消費者意識基本調査」によると、「この1年間に購入した商品、利用したサービスでの消費者被害の経験」を問う設問では、令和3年度の16.9%、令和4年度の17.2%、令和5年度の21.6%と増加傾向であることがわかりました。

消費者側にこうしたトラブルへの警戒意識が強まっている可能性があることから、調査側もこうした社会背景を前提にした調査設計や計画づくりを徹底すること、さらに調査対象者からの懸念や質問に丁寧に対応する姿勢を、これまで以上に意識していく必要がありそうです。

消費者庁「令和5年度消費者意識基本調査」の結果について

今年(2025年)は、個人情報保護法がすべての事業者を対象に全面施行された2005年から20年です。

個人情報の適正な取り扱いに関するこの法律において、個人情報を扱う企業は漏えいや不正な利用を防ぐための取り組みが求められています。

それは個人を特定できる情報を扱う機会の多い調査会社は特に肝に銘じておかなければなりません。

個人情報の利用目的の明示や社内外における情報管理の徹底はもちろんのこと、問い合わせ窓口の設置や、今後のAI・ビッグデータ時代への対応も含めて、調査会社が対応すべきことは多くあります。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。調査業務はまちづくりや円滑な交通政策の立案、施設の安全・安心な利用などに欠かせない取り組みです。

しかし、その実施に向けては丁寧な計画や準備、対応が欠かせません。

また、時代は変化し続けています。当社ではこれまでの経験を活かしつつ、丁寧で効率的な調査の実施を心掛けて業務を行ってまいります。

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