ブログ&コラム

ドローンにできること、できないことを冷静に考えてみる

コラムドローン

ドローンという言葉を聞くと、「便利」「最新技術」「効率化」といった前向きなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

実際、ドローンは測量や点検、農業、災害対策などの様々な分野において、これまで人が担ってきた業務を大きく変えてきました。

一方で、現場でドローンの活用に携わっていると、「とりあえず飛ばせばよい」「ドローンなら何でも解決できる」という期待が先行してしまっている場面に出会うことも未だに少なくありません。

本コラムでは、ドローンの価値を過度に誇張するのではなく、向いている業務・向いていない業務を整理しながら、現実的なドローンの活用についてもう一度考えてみたいと思います。

Contents

  1.ドローン活用で誤解されがちなポイント
   ① 「飛ばすだけ」ではないという現実
   ② ドローン導入=コスト削減とは限らない

  2.ドローンが力を発揮しやすい業務
   ① 俯瞰的に状況を把握したい場面
   ② 事前調査・スクリーニングとしての活用
   ③ 記録・共有が目的となる業務

  3.ドローンの役割が「補助」にとどまる業務
   ① その場での対応が求められる業務
   ② 外部条件に左右されやすい業務
   ③ 「作業」よりも「判断・分析」が重い業務

  4.ドローン活用を現実的に判断するために
   ① 作業の定型性が高いかどうか
   ② そもそもドローンで「完結」させる必要があるかどうか
   ③ 外部条件に左右されやすいかどうか

  まとめ

1.ドローン活用で誤解されがちなポイント

ドローン活用において、最も多い誤解のひとつが「ドローンを使えば、人が行ってきた作業をそのまま置き換えられる」という考え方です。

ドローン活用の紹介動画では、ドローンがスムーズに飛行し、短時間で成果を出している様子が強調されるため、非常に効率的な印象を受けます。

しかし、実際はどうなのでしょうか。

ドローン活用が語られる際、どうしても「飛行そのもの」に注目が集まりがちです。

しかし、実際の業務では、飛行計画の立案、飛行に関する許可申請、飛行経路周辺への周知、天候判断、飛行後のデータ整理や解析といった工程が大きな比重を占めます。

むしろ、ドローンを使うことで新たに増える作業も少なくありません。

ドローンを導入すれば人手が減り、コストが下がるというイメージも一般的です。

ただし、機体管理(定期点検)や操縦者の確保、保険、法令対応などを含めると、必ずしも短期的なコスト削減につながるとは限りません。

重要なのは「何を効率化したいのか」を明確にしたうえで導入を検討することです。

ドローンは業務の一部を担う他の手段と同等のアイテムであり、ドローンというアイテムの特性を理解しないまま導入すると、「期待していたほど効果が出ない」「結局、人の作業が必要だった」という当初の想定とのギャップが生じやすくなります。

ドローンは万能な解決策ではないという前提を整理することが重要です。 

2.ドローンが力を発揮しやすい業務

ではドローンはどのような業務で最も力を発揮するのでしょうか。

広範囲の状況を短時間で把握できることは、ドローンが最も力を発揮する業務の一つです。

現場全体の傾向や異常の有無を把握したいとき、危険リスクを抑えつつ全体像を把握できる手段として、ドローンの俯瞰視点が大きな価値を持ちます。

特に、高所や急斜面、すぐに人が立ち入ること自体にリスクが伴う現場では、ドローンによる俯瞰確認が有効に機能します。

ドローンは、本格的な調査や作業に入る前の「事前確認」としても有効です。

異常がありそうな箇所や重点的に確認すべきポイントをあらかじめ絞り込むことで、人が入る範囲を最小限に抑えることができます。

その結果、現地作業の効率化だけでなく、安全性の向上にもつながります。

写真や映像として状況を記録し、関係者間で共有することが目的となる場合も、ドローンとの相性は良好です。

視覚情報は説明の補助となり、言葉や図面だけでは伝わりにくい状況を直感的に共有することができます。

.ドローンの役割が「補助」にとどまる業務

ドローンの活用には、農薬散布や苗木の運搬など、すでに「作業」として現場に定着し、ドローン単体で完結している業務もあります。

このような業務では、作業内容や手順が比較的定型化されており、ドローンの特性と相性が良いと言えます。

一方で、すべての作業が同じようにドローンで完結できるわけではありません。

特に、現場ごとの判断や柔軟な対応が求められる業務では、ドローンを飛行させることが主たる目的になってはいけないケースが多いのです。

例えば人が行う点検では、目視確認と同時に、

 ・触って状態を確かめる
 ・簡易的な補修や応急処置をその場で行う
 ・部材の裏側や重なり部分を確認する

といった作業が自然に組み合わさっています。

その多くは、ドローンでは代替できない工程であり、最終的に人が現場に入ることが前提となる業務では、補助的な役割にとどまることをご理解ください。

ドローンの活用には、天候や風、GPS環境、暗所などの外部条件の影響を受けやすいという特性があります。

工程上「必ずこの日に実施しなければならない」業務や、現場で「飛行が難しいと判断した時の代替手段が確保できない」業務では、ドローン前提の計画自体がリスクになることもあります。

農薬散布のように、動作そのものに価値がある作業とは異なり、点検や調査では「何が起きているかをどう捉えるか」が成果の中心になります。

正しい撮影を行うことはもちろん必要ですが、撮影したデータの整理や解析の方法を理解し、確保できなければ、効率的で正確な業務は行えません。

あくまで業務の目的は状態の「判断・分析」であり、その手段はドローンでなくても良いのです。

4.ドローン活用を現実的に判断するために

ではドローン活用を検討する際はどのようなポイントで判断すべきなのでしょうか。

ここでは、判断の軸となるポイントを整理します。

ドローンの活用がうまく機能するかどうかを分ける大きな要素の一つが、作業の定型性です。

農薬散布や運搬のように、

 • 作業手順があらかじめ決まっている
 • 現場ごとの差が比較的少ない
 • 作業結果の評価基準が明確

といった業務では、ドローンは高い効果を発揮します。

一方で、現場ごとに状況が異なり、その場での判断や対応が頻繁に求められる業務や、データの分析結果が重要な業務では、ドローン単体での完結は難しくなります。

ドローンを使う目的が、何かによって、適切な使い方は大きく変わります。

すべてをドローンで完結させようとするのではなく、人とドローンの役割分担を前提にした設計ができているかどうかが重要です。

天候や周辺環境の影響を受けやすい業務では、ドローン前提の工程自体がリスクになることがあります。

代替手段や、人による対応が確保されているかどうかも、判断軸の一つです。

ドローンは、すべての工程を置き換えるための存在ではありません。

全体把握や記録、危険箇所の事前確認など、ドローンが得意とする工程もあれば、現地での判断や対応、データの整理や分析といった、人が担うべき工程も多く存在します。

重要なのは、ドローンを主役に据えるかどうかではなく、人とドローンがそれぞれの強みを活かせる役割分担を明確にする業務設計です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ドローンは確かに非常に有用な手段であり、適切な工程に組み込むことで、業務の質や効率を高めてくれる技術です。

一方で、「どこまでをドローンに任せ、どこから人が担うのか」をあらかじめ設計しておくことが、結果として無理のない、持続可能なドローン活用につながります。

それと同時に、従来の手法の方が合理的な場合もあるでしょう。これらを含めて適切な手法を選択できてこそ、現実的な活用と言えるでしょう。

ドローンを使ったサービスを提供する立場だからこそ「ドローンさえ導入すれば解決する」とは考えていません。

人が行うべき作業や、従来手法の方が合理的な場面も含めて業務全体を整理してこそ、ドローンは本来の価値を発揮すると考えています。

過度な期待ではなく、業務設計の中で冷静に位置づけたうえでドローンを活用すること。

その積み重ねが、結果として業務への信頼につながっていくのではないでしょうか。

お気軽にお問い合わせください