交通計画やまちづくりを支える「交通量調査」とは?
交通量調査とは? 具体的にどんなことをしているの?
その目的や調査手法、さらには調査事例などを通し、交通量調査の役割や活用のされ方についてご紹介します!
車を運転しているときや、何気なく歩いているときに、交差点や道路の片隅で椅子に座りながら車両の数を数えている人たちの姿を見たことがあるという方は多いのではないでしょうか。
交通量調査は、私たちの交通インフラや生活を支える重要な役割を担っています。このコラムでは、交通量調査がどのような目的から行われ、どのように進められているのかについてご紹介していきます。
2.交通量調査はどのように行われているの?
① 交通量調査の手段と車種の分類
② 時代と共に変化する調査手法
3.交通量調査の事例
【事例①】工場前道路の混雑状況に関する調査
【事例②】都市型ホテルの再開発に向けた調査
【事例③】歩行者天国導入に向けた影響調査
1.交通量調査の目的
私たちの生活を支える道路、その道路を利用する車両や人の数を数える目的は、道路を安全に、また円滑な利用に向けた整備や対策を行うためです。
それは、どのような機関や企業が実施するかにより違いがあります。
例えば、国や自治体が行う交通量調査は、道路の建設計画や維持管理、また広く都市計画などに向け、基礎となる情報を集めるために行われることが多くあります。
「渋滞が多い」「この道路は危険だ」などの住民の声に従って、その調査のために行われる場合もあるでしょう。道路は私たちの生活を支える重要なインフラです。
国や自治体がその建設や整備に関わるとき、その利用状況を適切に把握することはとても重要なのです。
一方で、民間企業が交通量調査を行う場合もあります。
例えば、工場や小売店、集合住宅など、何らかの施設を立地する際の計画づくりに活用します。
また建設が決まった後も、工事現場への車両の出入りが周辺環境に及ぼす影響を検証する際に必要な情報です。
このように、交通量調査は官民双方の事業において、その計画段階から施工、さらには運用段階でも不可欠な取り組みなのです。
では、交通量調査は具体的に、どのように行われているのでしょうか。ここでは、調査の流れや手法をご紹介します。
①.交通量調査の手段と車種の分類
交通量調査は公道で行われることが多いため、事前に所管警察署へ道路の利用許可を申請します。
そして調査当日は、あらかじめ作成した調査計画に基づき、多くはカウンターを用いて通行する車両を数えていきます。
車両は主に、乗用車、バス、普通貨物車、小型貨物車の4種に分けて行われます。
さらに、自転車のような二輪車を加えて5種類とされることや、依頼主のご要望に応じて種類を増やすこともあります。
国や自治体が行う際に用いられる区分をベースとしていますが、最も重要なのは依頼主のニーズです。
そのために、調査の目的や、結果の活用方法について事前にヒアリングを行い、依頼主のニーズに近づけるための調査を設計しなければなりません。
②.時代と共に変化する調査手法
従来の交通量調査は、基本的に人手による観測が中心であったため、調査スタッフを事前に確保する必要がありました。
その手法は今後もベースとなりますが、近年はデジタル技術の進展とともに、新しい調査業務が生まれています。
例えば、道路やその周辺にビデオカメラを設置し、AI(人工知能)技術を活用して車種や数量を自動判別することが可能になりました。
また、車両にセンサーを付けて位置情報データを獲得する手法もあります。
すべてを自動で行うことは、現在の技術では難しい場合もありますが、今後の技術の発展にともなって調査業務の自動化も夢ではありません。
2.交通量調査の事例
では、実際の交通量調査には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、当社が行ったいくつかの調査事例をご紹介しましょう。
【事例①】工場前道路の混雑状況に関する調査
こちらは、ある製造業の民間企業からのご依頼です。自社工場の前の道路で、早朝に渋滞を起こしていると近隣からクレームが寄せられたため、その実態把握と改善策の検討のため、交通量調査をご依頼いただきました。
調査では通行する車両の総数や内訳に加え、混雑状況の実態や特徴についても記録。
当社のこれまでの調査経験を踏まえ、交通環境評価や今後の改善ポイントについて詳細に報告しました。
【事例②】都市型ホテルの再開発に向けた調査
2つ目の事例は、ビジネス街に立地する大規模な都市型ホテルの再開発に関する調査です。
今後複数年をかけて旧ビルの解体や整地、さらに新ビルの建設が予定されています。
それぞれの工事では多くの車両が出入りしますが、立地が都市部の交通量が多い地域であることから、出入り車両による渋滞の発生や、近隣ビルへの影響などを把握する必要がありました。
そこで交通量調査では、ホテルの周辺道路における現状の交通量をベースに、工事期間中の渋滞予測を含めた交通影響評価を実施しました。
すると、10年単位で続く工事のスムーズな遂行に資する報告書だったとの評価をいただきました。
【事例③】歩行者天国導入に向けた影響調査
ある自治体が地域内で歩行者天国の運営を企画。その実現に向け、通行を止める道路やその周辺の道路も含めた影響を検証する目的で、交通量調査を実施しました。
これは道路の通行止めを伴う社会実験であり、通常時の交通量調査とは異なるため、事前に綿密なシミュレーションを行って本番に臨みました。
調査結果は通常時と社会実験時の交通量について比較し、その違いがわかるように工夫をして、交通影響に関する報告書を作成しました。その際には、多くの交通量調査や社会実験に携わってきた経験に基づく知見が役立ちました。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。交通量調査は、道路計画やまちづくりのベースとなる重要な取り組みです。
当社は、経験豊富なスタッフにより、さまざまな交通量調査に対応可能です。お気軽にお問い合わせください。